さて、前回税理士に効率よくなれる方法を検討してみました。
その際に税法の1科目を合格して会計大学院に進む用に記載したのですが、ではなぜ会計大学院に先に行くと合格しにくいのか、体験談を基に記載していきます。
もちろん、普通に会計大学院を卒業して税法科目1科目の合格を勝ち取る人もいると思います。
しかし、ぶるどるの周りでは5人中0人!
あと1科目取ると税理士というところまで来て10年以上足踏みしているんです。
なんでだろうか?
では考察開始!
Contents
会計大学院に通いながら税法合格を目指す
税法科目を合格していなくて会計大学院に通い始めた人がよく、
会計大学院に通いながら税法勉強するから大丈夫!
って言うらしいですけど、実際に会計大学院に通った人達は、
会計大学院ナメてるねー
って言ってました。
はっきり言って論文書くのもテーマを決めるのも物凄く大変だったらしい。
元々税法の勉強していて、受かるレベルまで来ていてたまたま問題との相性が悪かったりして落ちたとか言うなら分かるけど、会計大学院に通い始めて専門学校も通って税法の残りの1科目合格を目指すのはほぼ無理らしいです。
論文なんで時間が半端なくかかるし、まとまらなかったら悶々と考えとかないといけないしと。
なので、
在学中の合格はかなり難しいですよ
との事でした。
働きながら合格を目指す!
だがしかし。
会計事務所の仕事はとにかく忙しい!
はっきり言ってこの一言に尽きると思います。
会計事務所の仕事はとにかく忙しいです。
そして日々勉強の毎日です。
士業たるもの知識を売る商売なのでこれは今後もずっと続きます。
会計事務所の一年の業務と照らし合わせて一年目の仕事を見ていきます。
会計事務所の一年目
会計大学院を卒業したら大体の人は会計事務所に就職するでしょう。
すると、これがとにかく大変です。
入社後すぐに会社のい・ろ・はや社会人としてのマナー等の研修があります。
1年目は会計ソフトの入力等が主な業務でしょうが、操作方法を覚えて勉強してきた簿記に基づいて入力業務を行っていきます。
簿記を知らない新入社員はここで一つの山場を迎えますが、税理士を目指している諸君ならなんら問題なくこなすでしょう。
学んで来た事と実務では若干の違いはあれど、さして問題ないと思います。
のんびりと仕事を覚えながら夏を過ごし、税法の勉強を開始。
来年の夏には合格して税理士に…
なんて甘い甘い!
会計事務所は6月~10月迄は閑散期です。
この頃は先輩達も心にゆとりがあるので優しく教えてくれます。
ところが、
11月の後半から怒濤のラッシュが始まります。
あの優しかった先輩方が少しずつ鬼の形相に変わっていきます。
新人業務次の段階に移行です。
この頃には会計ソフトの入力にも慣れてきた新人は次の新たなソフトの操作に慣れなくてはいけません。
そう、年末調整のソフトです。
年末調整とはなんぞや?
はい、帰ってお勉強です。
仕事中は鬼と化した上司が大量の資料を持ってきます。
生命保険のハガキやら借入金の残高証明書やら…
給与を入力したり、ハガキ糊付けしたり、新人さんは手を休める暇がありません。
仕事自体はそんなに難しくありませんが、
年末調整なんぞや?
の勉強は独学です。
会社でさわりと年長ソフトの入力位は教えてくれるでしょうが、間違わずに理解して業務を行うには各人が勉強するしかありません。
会社で本読んで理解している時間はないです。
会社ではひたすらこなすだけです。
計算が終わったら納付書の記載・送付、資料の製本業務を行います。
この辺で税法の勉強が少し遅れ気味になってくるらしいです。
が、まぁ年末の休みでとりかえしゃいいっショ!
て思いながらなんとかかんとかこなしていきます。
ところが、年が明けたら12月締めの2月申告、休む間もなく確定申告、4月一息ついて3月締めの5月申告と会計事務所の鬼ラッシュ期間がやってきます。
ここで、
確定申告って何?
に、なります。
はい、帰って勉強です!
確定申告、すなわち所得税。
所得の種類やらなんやら大変です。
加えて、またソフトの使い方を習わないといけません。
この時期は先輩方は正に鬼と化しているハズです。
彼らの姿を見たら猗窩座殿もビックリ喜ぶ事でしょう。
で、帰りも遅くなってきます。
最近は会計事務所も働き方にナーバスになっているので、早くから取りかかったり各社以前とは全く異なり様々な工夫を凝らして残業を減らす努力をいています。
とは言え、一年目は分からない事だらけ。
もちろん学校より仕事が優先です。
この辺で早い人は、
今年の税法はムリ、今年は仕事覚えて来年頑張んべ
ってなっているハズです。
5月になると入社1年経っているのでそろそろ担当を付けてもらったり決算を組んだりする人も出てきます。
税法ソフトの操作を覚え法人税を勉強しながら決算業務を行います。
もうこの頃は完全にこの年の受験は諦めモードでしょう。
会社によっては巡回監査士の勉強も必要
会計事務所によっては、1年目から巡回監査士補の勉強をしなければいけないところもあります。
巡回監査士及び巡回監査士補の詳細はこちら。
巡回監査士補は担当を持って毎月監査に行くようになった際にとても役立ちます。
会計事務所に勤めるなら1年目に全員絶対に勉強した方が良い資格だと思います。
クライアントによく質問される主要4科目(法人税、所得税、消費税、相続税)の基礎が学べます。
もしこの巡回監査士補の勉強を始めたら税理士試験の税法科目の勉強はその分後ろ倒しになってしまいます。
もちろん、会計大学院を出ていれば監査士補の方はほとんど訳ないレベルではあります。
しかし、試験である以上どう言う内容が問われるか等は目を通しておいた方が良いので、時間を取られる事には変わりないです。
試験日は11月の上旬なのでその時期に1週間~2週間程度は時間の確保が必要です。
会計事務所勤務二年目以降
二年目以降となると担当を受けもち、クライアント先に出る事も多くなってくると思います。
クライアント先では予想もしない様な質問を普通に聞かれます。
向こうはお金を払っている以上、こちらを専門家と思っている訳です。
2年目だろうが10年目のベテランだろうが顧客からしたら関係ありません。
分からないからと言って、
分かりません!
と言って帰って良い訳ないですよね。
なにそれおいしいの?
って何度か言いそうになりましたが、絶対言ってはダメです!
冗談はさておき、そうすると色々と調べる事が多くなってきます。
下手すると税金とは関係のない補助金関係の事とかも聞かれます。
…で、いつ税法の勉強するんでしょうか?
会計事務所の休職はハードル高い
働いていたらずっと合格しないと思い、思い切って休職の選択をした人もいました。
会計事務所の休職は本当にハードルが高いです。
業務の引継ぎが大変
会計事務所によりけりだと思いますが、大体の会計事務所は担当制で業務を行います。
すると、事務所内だけでの業務の引継ぎではなくなります。
クライアント先に挨拶に行き毎月のチェック事項、用意してもらう書類等の引継ぎを行います。
人と人の商売なので相手担当者の特徴や社長の性格等細かに引き継がないといけません。
新しい担当者と社長が合わないとかよくある話です。
その他、決算時の処理の注意事項や特殊処理事項等の引継ぎを行います。
会社によって社長や役員の確定申告を行っている場合はその引継ぎも必要です。
勤続年数によりけりでしょうが人によってこれを20社~40社程度行います。
会計事務所の業務の引継ぎは出る方よりも貰う方が本当に大変です。
…で、これを行って求職してその後復帰した場合、また元の担当者に戻すの?って問題が発生します。
どれ位の休職期間かによるでしょうが、1~2年程度ですと担当者もクライアントも慣れてきたと思ったらまた交代となります。
クライアント先によっては担当者がコロコロ変わるのを良く思わない人は多いです。
休職しても受かるとは限らない
会社の理解を得て休職して学校に2年間通った人が居ましたが、それでも合格出来ませんでした。
その方は35歳の時に思い切って休職して専門学校に通う選択をしたのですが、記憶力が確実に落ちていたそうです。
本来1年の予定でしたが1年追加して2年間休職したけどダメでした。
試験である以上確実はありません。
どんなにやったとしても残念ながら落ちる時は落ちます。
まとめ
税法科目は科目によって異なりますが、1科目の合格目安の勉強時間は1500~2000時間と思います。
色々なサイトによって書いてある時間も様々で、実際もっと少なくても受かる人もいるでしょうが信憑性は定かではありません。
逆に2000時間以上やっていても受からない人はたくさんいます。
この会計事務所の1年間の業務を振り返っただけで、働きながら1科目合格する事がどれだけ大変か分かると思います。
これを3科目とか残してやるとか本当に大変ですよ。
なので、まずは何としても税法に受かっていた方が良いです。
会計大学院に先にいって挫折した場合時間とお金は帰って来ません。
行った人達はみんな、
税理士にはなれなかったけど大学院に行って学んだ事は良い経験だった
って言うけど、確かにそうかも知れないけど負け惜しみに聞こえてしまいますよね。
37歳で諦めるまでに費やしたお金と時間は別の事に有意義に使っていたらもっと違う世界があったかも知れません。
もし、2年間の専門学校生活を10年早く就職前に行っていたら結果は恐らく違ったと思います。
この様にならない為にも税法科目を合格して会計大学院に通う事をおすすめします。